法被の用語集
半被のオリジナル製作によく使われる用語を纏めてみました。
お客様がこれらの専門用語を覚える必要はありませんし、わからないことがあればどんなことでも専門スタッフに尋ねていただいて結構ですが、一種の気休めとご参考程度にご覧いただければ幸いです。
紋
個人や家系、職業、組織などを識別する、特定の意匠や図案のことをいいます。
日本では古くからこの紋が存在し、江戸時代の頃には火消しや大工、とび職、植木屋など、さまざまな団体を表す紋を入れた法被が広く利用されてきました。
また現代でも、背中や胸元や襟などに所属する町内を表す紋をあしらった半纏が、日本各地で行われるお祭りなどで着用されています。
市松柄
格子柄の一種。
2色の正方形を交互に配列させたチェック柄の模様です。
伝統的に、法被の腰部分のデザインによく利用される模様であり、弊社で販売しております既製品や、セミオーダーのものにもこの模様が入った製品をご用意しております。
鎖柄
こちらも市松柄と並び、法被には古くから用いられる伝統的な模様で、その名の通り鎖のように円形や菱形状の輪を繋ぎ合せたような模様です。
半纏の腰部分に大きく入れられたものから、全面的に細かく入れられたものなど、さまざまなタイプが存在します。
江戸文字
その名の通り、江戸時代に頻繁に利用された書体の総称のことを言います。
主に、歌舞伎や番付けの看板に利用される勘亭流や、落語の看板などに使用される橘流などがございます。
客が集まるように演技を担いで字面に余白がなく詰まり気味になっているのが特徴です。
伝統的なデザインの法被によく利用される書体です。
晒し
洗い上がった生地を太陽の光に当て、その紫外線を利用して白く変色させることを晒しと言います。また、そうした布自体のことを呼ぶ場合もあります。
これをすることにより、自然な風合いと味のある仕上がりになります。
法被の製作においても、昔ながらにこの行程を入れるものが数多く存在します。
平織り
経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交互に浮き沈みさせて布を織る、最も単純な織物組織です。ここから糸の種類を変えたり配列を変えたりしていき、さまざまな生地の織り方が生まれました。 弊社で使用している法被にも、広くこの平織りの生地が利用されています。
綾織り
経糸(たていと)が、緯糸(よこいと)の上を2本もしくは3本、緯糸の下を1本交差させ、糸が交錯する点が斜めに走るのが特徴の織り方です。
上記した平織りよりも伸縮性があり、しなやかで皺になりにくい利点があります。
こちらも半纏にはよく利用される生地であり、わかりやすいところで言うと、一般的なデニムなどにも利用される織り方です。
筒袖
衣類の袖の中では最も一般的な、その名の通り筒の形状をした袖のことです。
和装の場合は、袂(たもと、袖付けから下の垂れ下がった部分)がない袖のことを表します。
基本的な法被の袖としてもこちらが使用されていますが、弊社ではお客様のご希望に合わせてそのサイズや幅なども自由にご指定することが可能となっております。
襟
衣服における、首回りに付けられる部分のことを一般的に襟と言います。
和装や法被にある襟は首回りから前で合わせる腰の部分までをそう呼びます。
半纏ではその襟部分に紋を入れたり、所属する団体の名前を入れたりします。
生成り
法被や半纏を制作する際に用いられる、まだ漂白していない綿や糸、布地などの事。または生成り色と呼ばれる色の事。
袖付け(そでつけ)
袖と身頃を縫製することを言います。縫製することで柄などに特徴が出ます。
身頃(みごろ)
着る本体部分の事で、寸法などの表記に記載されています。お客様の身体のサイズに合わせた制作をする際にはこの身頃は重要な物となります。
広袖(ひろそで)
袖丈を目一杯に開いた状態で制作した袖の形の事で、広い袖の状態の為、広袖と言う名前になっています。
印半纏(しるしはんてん)
主に背中に屋号や家紋などを入れた半纏の事です。また襟に入れた物もあり、町火消をイメージして頂くと非常に分かり易いと思います。
角袖(かくそで)
はんてんやはっぴの袂は、丸みを帯びている物も多いですが、これに対し、角張った仕立ての袖を角袖と呼びます。洋服に対して、和服の事を指す場合もある様です。